福祉避難所」って何?



 「福祉避難所」とは、大きな災害で被災した人のうち、特に支援の必要度が高い人(いわゆる「要援護者」)を対象に設置される避難所のことです。

 対象としては、一般的な避難所では生活に支障を来たす可能性が高い人(障がいのある人、高齢の人、妊娠している人、乳幼児、病弱な人など)が想定されていますが、常時支援を必要とする人には向いておらず、身の回りのことは概ねご自分で対応できる人に向いています。(常時支援を必要とする人は、避難先の入所施設やケアホームでの受入れが想定されています)また、状況によってはそのご家族まで含めて差し支えないことになっています。(さらに、災害救助法の適用地域であることが大前提です。今回の適用地域は、下記URLを参照してください)

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000014j2y-img/2r98520000015bbv.pdf

 施設的には、福祉施設や防災拠点型地域交流スペースを有する施設、特別支援学校、避難所での生活において特別な配慮を必要とする者が避難できるような機能等を有する施設が想定されていますが、多くの人を受け入れる際には施設が不足するため、宿泊施設又はホテル、旅館やアパート等を利用しても差し支えないこととなっています。(根拠通知は下記URLを参照してください)

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000014tr1-img/2r98520000015aui.pdf

 福祉避難所の設置や運営については、概ね次のとおりです。(災害の規模などによって異なりますので、目安としてください)

(福祉避難所の設置)

福祉避難所の設置(指定)は、原則として災害のない平時に都道府県が指定します。(市町村に事務委任されているケースもあります)

ただし、大きな災害が起きた場合には、事後に設置(指定)されることもあります。今回の大震災の場合は、ほとんどが事後に設置(指定)されるものと思われます。したがって、公的機関を通さずに民間ベースで避難先を確保し、その後に行政と調整して福祉避難所の指定を受けられる可能性があります。

県境をまたいでの設置も可能ですが、その場合であっても、基本的には避難元の都道府県(市町村)が設置(指定)します。県境をまたいでの設置についての根拠通知は下記URLの項目「3」を参照してください。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000014tr1-img/2r98520000015jqc.pdf

(設置期間)

原則は7日間ですが、災害の規模等に応じて延長されることがあります。(今回の大震災の場合は、最大2ヶ月まで延長可能です。根拠通知は下記URLの項目「1−(2)」を参照してください)

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000014tr1-img/2r98520000015jqc.pdf

なお、避難期間が長期化した場合などには、避難所の統廃合を行う場合があります。

(人員配置)

避難者10名に対して1名の支援者(生活の相談等に応じる職員)の配置について運営費が支弁されるほか、市町村や都道府県を通じて支援職員の応援を要請することができます。支援者人件費は10万円強と思われます。支援者の応援に関する根拠通知は下記URLを参照してください。(通知上の対象は福祉施設となっていますが、福祉避難所もOKです)

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000014tr1-img/2r98520000015gd8.pdf

また、元々が福祉施設だった場合には、その施設に配置されている職員とは別に福祉避難所の支援者配置を行うことも可能です。

(設備)

できる限りバリアフリー化された施設が推奨されます。また、障がいに配慮したトイレなどの設置や、生活に必要な消耗品などについても運営費の支弁対象となります。

(食費や家賃など)

障がいのある人、高齢の人などの状況に配慮した食事について運営費の支弁対象となるほか、借り上げ方式で福祉避難所を開設した場合には、家賃も含めた費用が運営費の支弁対象となります。(家賃も含めた費用の場合、前例では1日当たり5,000円となっています)根拠通知は下記URLの項目「2−(1)」を参照してください。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000014tr1-img/2r98520000015jqc.pdf

(福祉サービス)

福祉避難所は「在宅」扱いとなります。したがって、福祉サービスについては障害者自立支援法や介護保険法の適用を受けることとなります。

この場合、住民票を移していない時は避難元の自治体、住民票を移した場合は避難先の自治体が支給決定等を行います。

(運営費の支払い)

基本的には、避難所の撤収後に事後精算します。支払いは避難元の都道府県(市町村)が原則ですが、県境をまたいでの設置だった場合には、とりあえず避難先の都道府県(市町村)が支払って、その分を避難元の都道府県へ求償することも可能です。

【以上の情報は、平成20年度災害救助担当者全国会議(平成20年6月2日開催)の資料から必要部分を抜粋しました。URLは次のとおりです】

http://www.wam.go.jp/wamappl/bb16GS70.nsf/0/CCF991865DB91F2A4925745E001FEE05?OpenDocument

 注意したい点としては、特に民間ルートで避難先を確保した場合、そこを福祉避難所へ指定してもらわないと、かかった費用が支弁されなくってしまう(受入れ先が全額持ち出しになってしまう)、ということです。せっかく避難してきた方を受け入れたのに、それが原因で莫大な借金を背負ってしまっては元も子もありませんし、最悪の場合避難した人へ費用請求されてしまう可能性もあります。

 また、県境をまたいで避難する場合には、所管の都道府県も異なるため、少々面倒ですが必ず関係する全ての自治体と連絡を取りあえる体制にしておくことが大切です。(避難元の市町村と都道府県、避難先の市町村と都道府県)こうすることで、避難先までの移動についても配慮してもらえる可能性があります。(避難者移送バスのチャーターなど)

 常時支援を必要とする人は、避難先の入所施設やケアホームでの受入れが想定されますが、この場合は既に「施設入所」や「ケアホーム」の支給決定を受けていますので、避難先で引き続き利用することとなります。(異なる施設種別でも、定員を超過していてもOKです)ただし、施設入所とケアホームの相互乗り入れはできません。(施設入所の支給決定を受けていた人がケアホームへ避難した場合、施設入所の支給決定は使えません)

以 上