MURMUR
2006.06.04 (SUN.)
ふりだし
日曜日の朝であっても、ある程度の時間には自然と目が醒める。年なんだろう。。。
今年は5月、6月でも肌寒い日が続く。日中暑い時間が数時間あっても、朝・晩は寒い。
最近ジンさんが少しまた話すようになった。私をイヂメて日頃のウサを晴らすためのようにも思える。
そして私は今朝「朝ビール」を呑みながら、ジンさんのことはそろそろ諦めドキだと考えた。
自分のことを世界で最も不幸なランキング上位だと思っているヒトを、ずっと慰め続けることは
私にはできない、と考えた。それは単なる私の勝手な憶測ではあるけれど。
昨年、何度か初心者の女の子と試合に出た。既婚者だけれど常に教え子(?)をはべらせているボクちゃんの、
以前の教え子にかっちょいい彼氏ができたので卒業されてしまい、次に選んだその新教え子である。
ところで私はテニスが下手だ。体力には多少の自信があるけれど、運動神経はあまり発達していない。
若い頃からあまり運動経験はないし、従ってスポーツ・クラブ的な人間関係というのはよくわからない。
それでも家風に則って、食事のマナー同様、ゴルフで言うならグリーンの上は決して走らず、しかし下手は
下手なりに一生懸命ボール拾いには走る、というこだわりはある。
どうせひとりな私が昼頃テニス・クラブに着くと、いつもその子はひとりでサーブの練習をしている。
おじさん達は、「がんばるねぇ」と話しかける。私が到着した頃、おじさん達が「兎烏さん来たから
ゲームしようか」と、声をかけてくれると、
自分は好きな相手と順番も何もなく好き放題にゲームをしていたボクちゃんが(いい年した大人)、
「新教え子ちゃんの方が先にいたのに、このヒトたちおかしいじゃないか!」と騒ぎ出す。
「だったらお前がやってやればいーだろ」と、当然思うが彼はワガママである。彼女とゲームをするのは
よっぽど人がいない早目の時間か、帰る頃の1ゲームだけである。彼の頭の中では彼女のお世話係は既に
私だという理念が定着している。
下手がなかなか人々に混ぜてもらえないのは、今まで私が経験してきた自然の掟であった。しかし、不倫な男
(しかもワガママ男)がついていれば、掟もへったくれもない。周りのオトナが我慢するだけである。
昨年彼女と試合に出てはみたものの、私は大腿の肉離れがくせになり、彼女に「ドンマイ」と言われる度に
自分がオトナだということを自分自身に納得させる努力でかなり消耗した。
彼女が下手だからイヤなのではない。ボクちゃんが「彼女も混ぜてやらなきゃ、オカシーオカシー」と
じたばた騒いでいるから、渋々彼女を混ぜるべく彼女のサーブ練習のボール拾いを手伝いに行っても、
その子は何も言わない。慌てて走ったりしてボールを拾うこともない。ただダラダラとボールを拾い、
そして「あんなこと(彼が)言ってごめんね」と言って泣く!
はっきり言って固定で誰かにテニスを教えるヒトは、結構厳しい。かなりキツいことばで指導する。
だから教わっている方は、涙をほろりとついついこぼしてしまうことも実はある。
ボクちゃんが一日に一度だけ彼女とゲームをする機会には、やはりかなりキツいことを言っている。
そしてその度彼女は泣く。だけど、彼女の涙は私の(やはり勝手な)憶測では、
通常の教わる側の涙と意味が違う気がしてしまう。
できないくやしさとかで涙がついついこぼれるのじゃなく、「ひどいこと言われた」という「泣き」な気が
して・・・。
先月だったか、キレてはいないけど「もう我慢できないかも」と思うことがあった。また彼女と試合に出た
訳だ。ただし、それは試合以前のことだった。試合の前の週、彼女はテニスに来なかった。
なぜかと言うと、男が試合だったから。ボクちゃんの試合には必ずついて行く。彼女のせいばかりではない。
ボクちゃんが彼女と離れられないから。
「いつもこいつと試合に出てくれてありがとね〜」って、口では言うのだが、だったら試合の前の週に
練習させろよ・・・。
日頃そんな鬱憤はたまっていたけど、なぜ今改めて書いてしまったかというと、単なるグチなんだ。
ずっと挨拶もままならなかったジンさんが先日私の横に座って彼女に言った。
「うまくなったね〜。こんな下手クソ(私)なんかすぐに追い越すよ。」・・・
そして私について、「なんでボールが飛ぶのかわからない。物理的にあり得ない」・・・
・・・実は私にはわかっていて、顔では笑っているけれど内心とても傷ついていることがある。
それは若い者がずっと誰かに教わって、そしてある日突然びっくりする位いい球を打つことだ。
そのときに私は「ああ、またおいてかれちゃった・・・」というくやしくも哀しい気持ちで本当に柱の
影かトイレの中で潤んだ目をこする訳。
そしてその一週間後、いい気になったジンさんは、彼女に「もう少しこうしたら、あーしたら」などと
アドバイスを始めた。
ふと、バカバカしくなってしまった。
彼女は初め、(そりゃ初心者だから)かなり下手で、しかも日頃別段うまくなりたがってる風もなく、
ただその男にくっついていればシアワセで、おじさんたちに相手してもらっても感謝するでもなく、
クラブでもどうでもいいようなオシャベリに夢中でボクちゃんに言われるまでラケットも握らず、
クラブに来てもさんざん一緒に試合に出て身体まで壊した私にろくに「こんにちは」も言わず、ゲームを
しても男にしか球を返さず、ゲームの最中には自分の打った直後「あ〜ん、いや〜ん」とか言ったり、
そしてすぐ泣き(私が幼稚園児だった頃でさえ、そんなに人前で泣いたことはない)、それでも、最近いい球を
打つ。ジンさんの言うとおりだ。
なぜなら、ボクちゃんが一年以上かけて毎週毎週教えてきたから。(正直言って、一年みっちりでこれだけ
の方が不思議な位・・・)
ジンさんは、ほんの8回ばかり私を教えてくれた。その間に「俺の言うことだけを信じろ!」という観念だけ
私に覚えさせた。(それはまたもやゴルフに例えても同じで、いろんなヒトのいうこと聞いてたら訳わからなく
なるから自分的にももっともなことだったし。)
そして自分の肘がそこそこ回復したから私に教えるのをやめた。おばさん達にウワサされるのはお前が
中学生みたいだからだ(!?)と言って、教えるのをやめた。
だから、本当は私は最近ジンさんのことあんまり好きじゃないときがある。バカバカしいから。 それでも「今日はいる」とか「いない」とか、申し合わせていなくても大概ジンさんの行動がわかり、 例えばライター貸してと言われたらこっちのライターよりこの位のライターの方がかわいい、と思って 取り替えていけば、今日のように「ライター貸してよ」と言って自分のポケットにしまい込んだりするから、 「誰のことも好きじゃない自分に戻るのだろうか」という複雑な心境も相まって今週末も更けていく・・・。
しおしおのことは心から愛してるよ。でもしがらみがあるからね。