MURMUR

 

2000.10.10 (TUE.)

 

サイレン

 

あのサイレンはもう私には関係がない

電話のベルももう私には関係がない

急を知らせるサイレンが街を走っても

どんなに夜をざわめかせても

あのサイレンはもう私には関係がない

 

知らぬ間にいろいろなことに不安を知っていたのだと

今はとりとめもなく思うだけ

昼も夜も、窓の外ではサイレンが鳴り響き

終焉の恐怖の余り 待ちかねていたかと思うほど

 

あのサイレンは関係がない

誰かあの音を止めて

吐き気がする

胸が焼けて、吐き気がするのだ

吐き気がするほどサイレンは消えず

いつまでもいつまでも頭の中で鳴っている

いつか来る最後の象徴

鳴り止まないサイレンの

いつまでも止むことのないサイレンの

消すことのできぬサイレンの

いつまでもいつまでもいつまでも、消すことのできぬこのサイレンの

 

でも今はもう

あのサイレンは関係がない

電話のベルも何も関係がない

急を知らせるサイレンが夜を走っても

どんなに誰かを脅えさせても

あのサイレンはもう私には関係がない